僕の嘘も冷めてしまった

    緑のコート、君が忘れていった

    僕も忘れた方がいいかな

    それだけじゃなくてさ、君のことも



    空けてないままのコーヒーだってさ

    早く言ってくれればよかったのにさ



    ねえ  ねえ  そんなことすら僕に言えなかったの



    言い足りないよ

    その目、その口からは  僕がほしいかもしれない言葉は出てこないってさ

    じゃあ、もう二度と……

    その言葉も、もういいか



    円滑に進む別れ話  安心したような顔  それと、やっぱり僕の嘘

    緑のコート いつものように椅子にひっかけて

    寒いのにも気付かずに  安心してるのかな



    ああ  ああ  最後の嘘も結局優しさになって



    憎まれ口をききたかったわけじゃなくて

    今さら「好き」とか言いたいわけでもない

    そんなのじゃなくて  ただ  ただ

    君が笑ったまま終われるなら、それくらいわかってよ



    寒くない部屋

    温まる指先

    そこにいるままの、緑のコート






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